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この流れについて、日本の不良債権問題との類似点を念頭に置きつつ、米国当局による対応の遅れを問題視する声が上がっている。
それに対して、「米国の金融機関による情報公開の度合いや損失処理のスピードは、日本の不良債権問題の時とはまったく異なっている」と、米国人はしきりに強調したがる。
だが、筆者に言わせれば、それは程度の問題にすぎない。
日本が19年かかったことを、米国は1年で処理できたのだろうか。
そんなことはない。
米国でも、オフバランスの運用資産を金融機関の連結対象に含めて透明性を高める会計上の措置は、金融市場に対する潜在的な影響の大きさが危倶されて、導入が先送りとなった。
金融機関が保有している含み損の発生した住宅ローン担保証券などについて、時価会計の運用を事実上緩和するという「ルール変更」の動きも出てきた。
金融株の空売り禁止措置も、何回か発動された。
米国の政策当局は、戦略的に練られた金融危機対応策を打っているわけではまったくない。
金融市場の危機意識や不安心理を何とか沈静化させようと、「後追い」で、なりふり構わずに「政策総動員」をかけているにすぎない。
米国経済は脆い「カードの城」以上のような情勢とは別に、もっと長いスパンで米国経済を考える場合にも、不安をぬぐい去ることはなかなか難しい。
その不安の大きな要因は、「はじめに」で述べた「20年バブル」の崩壊によって、米国人の過剰消費体質が是正されざるを得ないという点にある。
第8章でも少し触れたが、この過剰消費体質ゆえに、米国経済にはトランプで作った「カードの城」のような、不安定で危うい面があると筆者は常々考えてきた。
米国人の消費行動は、アリとキリギリスのうち、明らかにキリギリスに近い。
米国人の過剰消費体質、つまり貯蓄をあまりせず、借金をしてでも過剰な消費にお金を回す体質については、問題意識が米国内外でずいぶん前から持たれてきたが、さっぱり改善されてこなかった。
米国在住の日本人の知人によると、学校で子供が米国人の友達からスポーツシューズをもらって帰ってきたので、どうしたのかと尋ねたら、「汚れたからあげる」と言われた」のだという。
どうやらその米国人の友達は、靴は汚れたら洗うものだということを知らなかったらしい。
むろん、これはたまたまあった一つのエピソードにすぎないが、巨大なショッピングセンターの中を、これまた巨大なカートで買い物をしている普通の米国人の姿を見ていると、「これはやはり過剰消費だな」と筆者などは思ってしまうのである。
そうした米国人の過剰消費は、中国など諸外国からモノを大量に輸入することを通じて、巨額の貿易赤字に結びつく。
それに加えて、米国が最先端を走ってきた証券化などの金融技術を武器に展開されたクレジット(信用)バブルが、サブプライムローン問題という形で崩壊した。
金融という側面から米国の「カードの城」が崩れ去った結果、世界経済が揺さぶられている。
近年、経済情勢について、世界各国の政策当局者が「不確実性」という言葉を用いることが多いが、その根底には、「カードの城」米国経済に内在する不安定性があるように筆者には感じられる。
日本はグローバルスタンダードを握れるか。
米国経済が2009年中といった早い段階で本格的に回復するのは、望み薄だろう。
すでに人口減少・少子高齢化時代に突入しており、これまで以上に輸出依存にならざるを得ない日本経済についても、しばらく厳しい状況が続くことを覚悟せざるを得ない。
いる国々がそれに見合った巨額の貿易黒字を計上しているということを意味する。
米国人の過剰消費のおかげで、その他の国々が潤っている。
これが、世界経済の偽らざる現実の本章の最後に、「日米の経済関係や日本企業の対米戦略はこの先どうあるべきか」というテーマを考えてみたい。
日本の自動車メーカー各社は、輸出から米国現地生産に切り替える動きを順次強化して、一雇用の増加や地域経済の活性化といったメリットを、・目に見える形で米国にもたらす一断面である。
この問題を考える上でヒントになるニュースが、2008年8月1日に飛び込んできた。
米国の同年7月の新車販売台数は、前年同月比▲18・2%という大きな落ち込みとなったが、そうした中で日本の自動車メーカー8社のシェアは56・0%に達し、史上初めて米ビッグ3(GM、F、K)のシェア(過去最低の85・7%)を上回ったのである(米調査会社オートデータ調べ)。
一時は前年の約2倍にもなった原油価格の高騰によって、「車社会」米国の経済社会構造は根底から揺さぶられた。
ビッグ3が得意とする燃費の悪い大型車は敬遠され、売り上げが落ち込んだ。
一方、ハイブリッド車を含む燃費のよい日本車には、強い追い風が吹いた。
もっともその後は、相次ぐ金融危機や信用収縮(貸し渋り)の深刻化、雇用・賃金情勢の急速な悪化などによって、日本メーカーの販売台数も急激に落ち込むことになったのだが…。
この件について、筆者にとって最も印象的だったことがある。
それは、ビッグ3のシェアが日本メーカーのそれを下回るという、米国人にとって屈辱的な結果が出たにもかかわらず、反日感情の強まりといった動きは一切報じられておらず、米国人が極めて冷静だとよう配慮している。
また、ドル/円相場は、米国の大幅利下げや信用不安からドルが売られた結果、ひと頃よりも円高ドル安の水準になったため、「為替を切り下げて輸出競争力を高めているのではないか」という批判は生じにくい。
このほか、米国の若い世代の間では、日本ブランドに対する抵抗感は薄いようで、その点はハリウッドで製作された映画を見ていてもよくわかる。
日本メーカーの米自動車市場におけるシェア上昇と、一雇用増加などを通じた米国経済への多大な貢献。
自動車産業においては日本経済と米国経済との間では、よい意味での相互依存関係が形成されつつあると言えよう。
インターネットや企業経営手法でグローバルスタンダードを握ったのが米国だとすれば、ハイブリッドカーなど省エネ技術では日本が主導権を握りつつある。
そういったポイントに、日米の経済関係や日本企業の対米戦略を考える上でのヒントがあると言える。
オバマ米大統領のもとでも、あるいは日本の首相が誰になっても、安全保障面を軸にした日米関係の緊密さは変わらないだろうし、日米企業は今後も米国で、あるいは新たな収益源である新興経済諸国でシェア争いを演じながら、切嵯琢磨し続けることだろう。
少子高齢化の秋田県は「日本の未来図」最後に、「人口減少・少子高齢化の日本」の将来像を考える上で、一種のケーススタディーとして、最近何かと話題にのぼることが多い秋田県の事例を取り上げてみたい。
主な理由は、後に述べるように、「高齢化の進み具合から見て、秋田県の姿は3年先の日本だ」と考えられるからである。
そしてもう一つ、秋田県は筆者の両親の出身地であり、親戚や友人が住んでいるため、情報収集を行いやすい点も考慮した。
2008年8月には数日、現地で実情を見聞する機会を作った。
秋田県の概要を紹介すると、総面積が1万1612航で、全国の〃都道府県では6番目の広さ。
総人口は110万9007人(2008年7月1日現在)で、1980年から減少を続けている。
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